★弽編 初心者様の弓具購入につきまして
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平素より大変お世話になっております、寺内弓具店です。
最近北海道は寒暖差が激しくなってまいりました。季節の変わり目、どうぞご自愛ください。
さてさて、一般で弓道を始められた方はまず「弓道教室」に通われる方が殆どでしょう。
学生時代に弓道部だった方は道具が揃っている方もおられますが、社会人になって始められた方は、様々な道具が必要となってきます。
連盟や弓道会の先生のご厚意でお借りできる場合もありますが、
弓道教室は人気があり、一方教えて頂ける先生はボランティアです。
道具も会や連盟の持ち物であり、来年入会される方に貸し出す物がなくなることがあるため、いつまでも借りている訳にはいきません。
そこで、弓道教室修了後は、続ける方はある程度道具をそろえる必要があります。
簡単にご説明して参りましょう。
★弽(ゆがけ)
弽は矢を番えた弦(つる)を引くための、右手に装着する鹿皮製の手袋です。
親指に「弦溝(つるみぞ)」と呼ぶへこみが施してあり、
ここに弦を番えて使用します。
弓道具はほとんどすべての物が伝統的な材質・製法で作られており、
弽も例外ではなく、鹿革、一部牛革、一部木製パーツから成っています。
近代的な強化プラスチック素材や鉄などを含まず、「弽師」と呼ばれる職人様の手により、一個一個丁寧な手仕事で製作されます。
天然素材で製作されている為、たくさん練習する方は、弽が変形したり、使用により放った矢が暴発するなど、
適切なメンテナンスを怠ると時に危険が伴う事態も起こる、大変重要な道具です。
弽は、一説に「かけがえのないもの」の語源とされるほど、自分にぴったりのものに育て上げる必要があるのです。
ですから、弊社では、最初に選ぶ弽は丁寧に選別する事を心掛けています。
本当は対面で弽を装着して頂き(差す、といいます)ぴったりのものを選別したいのですが、
後日熱した鉄ごてでの指縮め、指伸ばし、縫い直しなども(一部有料ですが)行えるため、インターネット販売にも踏み切りました。
また、先ほどの「弦溝」には、弽購入時に「くすね」と呼ばれる松脂が塗布してあります。
練習すればするほど、弦溝にはたくさんの矢を番える負荷がかかるため、
松脂は取れてしまい、射の癖に合わせ溝は変形していき、中仕掛けを上手く作れなければ深くなったり、
浅くなったりして使いづらくなってしまうデリケートな部分です。最悪の場合、2年程度で使用不能になる場合も御座います。
それを予防する手段として、ご購入時から一年間程度は、クスネを定期的に塗布する事をおすすめしております。
くすねは親指部分の革に染み込んでいき、弦溝を徐々に強くする効果があります。
しかし、射の肝要な部分である弦溝を、初心者様がご自分で触るのは心配な部分も御座います。
ですので、弊社購入品は、くすねつけは永久無料とさせて頂いております。
弽は大切に扱えば8年以上も使用に耐えうる弓具です(革質などによります)。
使用についての注意点や使用方法、管理方法などを弊社購入品であれば無償でアドバイスさせて頂きます。
弊社購入でなくとも、弽は信頼できる弓具店で是非ご購入下さい。
弓道は「武器を使用する、危険を伴う武道」です。
弓具のメンテナンスは安全にとても役立つもので、怠った場合は危険を伴う場合があり、スムーズな上達の妨げにもなります。
是非信頼できる十分な知識を持った弓具店にてご購入を検討してください。
・サイズ選びは適切か?
・購入当初にすべき事は教えてもらえるか?
・メンテナンス方法は伝えられましたか?
・修理方法・メンテナンス方法は適切か?
折角始められた弓道が、道具のせいで上達しなかったり、危険に晒されてはいけません。
しっかりとチェックした上でのご購入をお勧め致します!
以上!またお時間のある時に、別の道具の事をお伝えいたします。